Q. Netflixの『ROMA/ローマ』がアカデミー賞を賑わせたりして、何かと配信が注目されています。押井さんは作り手として、あるいは視聴者として配信についてはどう考えていらっしゃいますか。 ─── 今回の質問は配信についてです。今年のアカデミー賞でも『ROMA/ローマ』が注目されましたが、その後、スティーヴン・スピルバーグがNetflixをアカデミー協会から締め出そうとして、再び注目を浴びました。 押井 クリエーターからすると配信はちょっとビミョーなんだよね。なぜなら、観客の声が届いてこないから。リアクションが聞こえてこない。他の国の事情は知らないけれど、日本ではそう感じているクリエーターが僕を含めてたくさんいる。 ─── それはちょっと意外です。配信は普通ネットだから、すぐにSNSとかで噂になると思ってました。 押井 映画の場合、公開したらすぐに数字が出るじゃない? 初日で何人動員し
映画TOP 映画ニュース・読みもの 夢売るふたり “妥協”と無縁な映画監督・西川美和が語る、『すばらしき世界』と日本映画界の課題【宇野維正の「映画のことは監督に訊け」】 インタビュー 2021/2/20 17:00 “妥協”と無縁な映画監督・西川美和が語る、『すばらしき世界』と日本映画界の課題【宇野維正の「映画のことは監督に訊け」】 現在の日本映画界で、特別な信頼を寄せることができる映画作家の一人。西川美和監督について自分がそう断言するのには、明確な理由があります。 一本の映画が作られるには、様々な理由があります。既に評判の高いコミックや小説を原作として、その作者や権利元と交渉して映画化に漕ぎつけた作品。芸能プロダクションが役者を売り出すために、そのキャリア設計において最適な役柄から逆算して、どこかから原作を引っぱってきた作品。地方自治体が地域の振興のためにロケ地を誘致して、公金から製作費
仏教の教えや世界観を、様々なシンボルを並べ視覚的に表現する「曼荼羅(まんだら)」。古代インドに端を発し、今では様々なスタイルのものが世界各地に存在していますが中でもチベット仏教の曼荼羅は、砂で描き上げ、そして壊すという儀式で知られています。 複雑な文様を砂で描き出すチベット仏教の砂曼荼羅。曼荼羅そのものだけでなく、それを描き出す行為が重視されるようです。 細く丸めた金属の筒で砂をすくい取り…… 静かに振動を与えて砂を落としていきます。そっと呼吸するだけでも砂を飛ばしてしまうため、集中が必要です。 そして描き上げられると、すぐに壊されるのが砂曼荼羅。諸行無常の教えの象徴であると言われています。 すべての砂の一粒一粒は、僧たちによって祝福の祈りがささげられ…… そして川に流されることで海に広がり、やがて世界にその祈りを広げることになるのです。 動画はこちらから。 The Sand Mandal
でもちょっとその前に、これは少しだけ本題とはズレるけど、菊地のTwitterにはすごく困った特徴がある。例えばこのツイート。 小鳥達の世界なのだから伝書鳩を飛ばしても良い、というのは拡大解釈だったようなので、一時的に小鳥の世界に入る事にしました。僕のこのさえずりは、自家中毒に苦しむ小鳥達の唾棄や悪声より些か紳士的で可憐なものになることを望みます。 「小鳥たち」と言うのは、Twitterの青い鳥を指していて、その利用者たちのことを言っている。菊地はTwitterにあまり馴染みがないから、自分との距離感を印象付けるために「小鳥たち」とかダサい言い方を多用したがる。で、自分はあまりその世界に入りたくないから、「伝書鳩」を飛ばそうと思った、と鳥比喩を続けつつ、「僕のこのさえずりは、自家中毒に苦しむ小鳥達の唾棄や悪声より些か紳士的で可憐なものになることを望みます」と書く。繰り返すけど、 「僕のこのさ
批評について: 芸術批評の哲学 作者:キャロル,ノエル 発売日: 2017/12/01 メディア: 単行本 『批評について:芸術批評の哲学』は2年ほど前に図書館で借りて読んではいたが、今年になってからこうして映画ブログをはじめて「批評」活動をはじめたということもあって、改めて読み返してみた。 まず、重要だと思うところをいくつか引用しよう。 すでに遠回しに示唆されたことかもしれないが、こんにち提出されている批評理論の多くは、主に解釈(interpretatiton)の理論である。こうした理論は芸術作品から意味ーーここには兆候として示唆されるような意味(symptomatic meaning)も含まれるーーを引き出そうと努めており、そこでは解釈こそが批評の主要課題だとみなされている。一方わたしは、価値づけ(evaltuation)こそが批評の本質だと、それもとりわけ、芸術のカテゴリーやジャンル
美術監督・部谷京子さん【写真:空尾伊知郎】 映画業界に関わる女性たちにスポットを当て、これまでの人生やこの仕事を選んだ理由など、「わたし流」の仕事と生き方を掘り下げるこの不定期連載。今回は日本映画美術界の超大御所・部谷京子さんの後編をお届けします。樹木希林さん、吉永小百合さんらが登場する制作現場の貴重なエピソードも必読! 聞き手は映画ジャーナリストの関口裕子さんです。 ◇ ◇ ◇ 参加した最新作2本にもさまざまなアイデアが ――現時点の最新作は、『宇宙でいちばんあかるい屋根』(2020)でも組んだ藤井道人監督の『ヤクザと家族 The Family』(2021)です。これから配信されるネットフリックス版「新聞記者」も手がけられたそうですね。 『ヤクザと家族』のモチーフの1つは、煙突から立ち上る煙です。ロケ地を静岡県にしたのもそれを撮るため。工場の煙は、藤井監督の初期の作品から心象風景のように
映画TOP 映画ニュース・読みもの 花束みたいな恋をした 坂元裕二、野木亜紀子が信頼を寄せる土井裕泰の 『花束みたいな恋をした』は、なぜ“テレビ的”ではないのか?【宇野維正の「映画のことは監督に訊け」】 インタビュー 2021/2/10 13:00 坂元裕二、野木亜紀子が信頼を寄せる土井裕泰の 『花束みたいな恋をした』は、なぜ“テレビ的”ではないのか?【宇野維正の「映画のことは監督に訊け」】 21世紀の日本映画を語る上で欠かせないのは、テレビ局との強い関わりです。慣習的に、日本の映画ジャーナリズムはいわゆるテレビ局映画の存在を軽んじる傾向がありますが、その際にまず混同してはいけないのは、「テレビドラマの映画化作品」と「テレビ局が製作・出資した作品」の違い(例えば、是枝裕和監督の作品の多くは後者に当てはまります)。また、テレビ局映画の中にはそのテレビ局に在籍している演出家が監督を務める作品が
樋口真嗣と言えば、庵野秀明とタッグを組んだ「シン・ゴジラ」で日本アカデミー賞最優秀監督賞に輝いた、日本特撮界および映画界の重要人物。新作「シン・ウルトラマン」の特報映像が解禁された際には、ギレルモ・デル・トロやジョーダン・ヴォート=ロバーツといったハリウッドの監督たちから興奮と絶賛の声が上がったことも記憶に新しい。そんな樋口がここ1年ほど、Instagramに手作り焼き菓子の写真を投稿し続けていることはご存知だろうか? 何かに並外れた愛情を注ぐ人にスポットを当てる連載「〇〇の異常な愛情」の第2回では、“焼き菓子作りの沼”に落ちた樋口にインタビュー。お菓子作りを始めたきっかけや、Instagram上のハッシュタグ「#モジャメガネ焼き菓子部」の実態、そしてあの大物にお菓子を贈ったエピソードなどを語ってもらった。 取材・文 / 浅見みなほ 写真提供 / 樋口真嗣 どうして急にこうなっちゃったんだ
映画『花束みたいな恋をした』を観てきた。坂元裕二の新作なので公開してすぐに映画館に出かけた。観客は若い人ばかりで、ちょっとビックリした。そこで描かれていたのはそんな観客たちと同世代の若者の、他愛もない同棲時代の物語だった。大学生活の終わり頃に知り合った麦と絹はいわゆる「文化系」の若者なのだけど、表現することを生きることの中心に置くにはちょっとい(だいぶ?)才能と執着が足りない、つまり「文化的なものが好きな自分が好き」なタイプの若者たちだ。そんな二人が、ちょっとした偶然と趣味の一致きっかけに仲良くなって、勢いでなし崩し的に同棲をはじめ、二人でいる事自体が楽しい時期を経てやがて大学を卒業して働くようになり、そして倦怠期に陥って別れるまでが描かれている。その過程を描く解像度は驚異的に高く、多くの(僕のような中年の)観客がああ、こういうことってありがちだよなあ、とむず痒い思いをしながら観ることにな
クリス・エヴァンス、『アベンジャーズ』監督の新作スパイ・アクションで悪役に挑む ─ ライアン・ゴズリングほか豪華共演 Photo by Elen Nivrae https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Chris_Evans_-_Captain_America_2_press_conference.jpg キャプテン・アメリカ役でおなじみのクリス・エヴァンスが、『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)のアンソニー&ジョー・ルッソ監督と再タッグを組むスパイ・アクション映画『The Gray Man(原題)』で悪役に挑む。ポッドキャスト「Lights Camera Barstool」にてジョー・ルッソ監督が明かした。 本作はライアン・ゴズリング演じる主人公、鮮やかに姿を隠すがゆえ「人目につかない男=グレイマン」の異名を持つ元CIA諜報員の暗殺者コート・
こんにちは。 ライター・放送作家の吉村智樹です。 おススメの新刊を紹介する、この連載。 第38冊目はアイドルとアイドルのファンの自室を並べた画期的な写真集『IDOL STYLE』(アイドル・スタイル)です。 ■伝説の写真集『TOKYO STYLE』から約30年 1993年に発売され、いまなお愛され続ける伝説の写真集があります。それが都築響一さんが撮影した『TOKYO STYLE』(トーキョー・スタイル)。 この『TOKYO STYLE』は嘘くさい、生活臭が感じられないおしゃれな部屋ではなく、東京で暮らす人々のナマの生活空間を写し取ったリアル極まりない写真集です。ありそうでなかった「普通の人が暮らす普通の部屋の写真集」は、トレンディブームの終焉にとどめを刺す強烈なカウンターでした。 部屋の写真から住む人の声や息づかいまでも聴こえてきそうな『TOKYO STYLE』は「若者のバイブル」と呼ばれ
ナタリー・ポートマンが、あの映画の監督を、「気持ち悪い要素が一切なく私を指導してくれた唯一の年上男性」と話すほど信頼していたという。(フロントロウ編集部) 幼少期から苦しい経験をしてきたナタリー・ポートマン これまで数多くの映画に出演し、アカデミー賞複数回ノミネートと、1度の受賞経歴を誇るナタリー・ポートマンは、12歳で『レオン』に、その2年後に『ビューティフル・ガールズ』に出演。 両作品で、ナタリーが演じた役柄に大人の男性が惹かれるといったストーリー要素があったため、ナタリーがまだ幼い頃から性の対象として見られることになる状況を引き起こした。彼女が初めて受け取ったファンレターは、成人男性が彼女をレイプすることを夢想する内容だったと言い、苦しい思いを経験したことを明かしている。 また、ナタリーが身を置く映画業界は、女性の性暴力被害は問題となってきた。2018年には超大物プロデューサーだった
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