想い出がいっぱい - 短編1000字（朝飯抜太郎） - カクヨム

想い出がいっぱい - 短編1000字（朝飯抜太郎） - カクヨム

怪談というか、人間って怖いなという話。そう言って先輩は話し始めました。 「その男は経営者でね。忙し...概要を表示 怪談というか、人間って怖いなという話。そう言って先輩は話し始めました。 「その男は経営者でね。忙しいけど金があって、綺麗な奥さんと娘がいる、いわゆる成功者。 その日、偶然予定が空いて、男は初めて娘の通う園の発表会に行った。普通にビデオカメラで娘を撮ったりしてさ。 23人の白雪姫の劇で、姫の衣装を着た娘達が並んでステージに入場する場面だった。娘の後ろにいた子が娘のスカートを踏み、娘が転んでしまった。カメラにはぐっと口を引き締め、泣かずに立ち上がった娘が映った。でも、スカートを踏んだ子の方が泣き出してしまった。空気が一変、どうなる、と大人達が見守る中、娘がその子の手をつないで歩き出した。劇は無事に再開し、会場には拍手が起こった。 それから男は変わった。娘のイベントには必ず出席する。平日も夕方には家に帰り、ご飯も一緒に食べる。 そして男は家では必ずカメラを娘に向けた。歌う娘。笑う娘。泣く娘。座る

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