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徹夜したらもったいない長編小説『ザリガニの鳴くところ』
イッキ読みした。物語はゆったりと進むのに、先を知りたくてページをめくってしまう。 この作品のテーマ... イッキ読みした。物語はゆったりと進むのに、先を知りたくてページをめくってしまう。 この作品のテーマはここに集約されている。 ここには善悪の判断など無用だということを、カイアは知っていた。そこに悪意はなく、あるのはただ拍動する命だけなのだ。たとえ一部の者は犠牲になるとしても。生物学では、善と悪は基本的に同じであり、見る角度によって替わるものだと捉えられている。 生きること、ただ命をつないでいくことには善悪の区別などない。行為や結果について「善」や「悪」というレッテルを貼るのは人間の性であり、そこから自由であろうとすると、どういう人生になるかが物語られている。 「カイア」はこの物語の主人公だ。舞台は米国ノースカロライナ州の広大な湿地帯になる。親兄姉に見捨てられ、極貧の中、ただひとりで暮らす彼女は、貝を掘ったり魚を釣ったりして生き延びようとする。町の人々からはつまはじきにされる、貧困白人(ホワイ
2024/06/02 リンク