「生命って、何ですか?」と。 それが分からないと、すべての議論が漠然としたままになってしまう。 「クマムシの話をしましょうか」と藤島さんは、前にちょっと出たクマムシの話に立ち戻った。 「クマムシって面白くて、乾燥したりして乾眠状態、いわゆる樽(tun、タン)状態になる時、生と死のはざまの位置に自分を置いているわけです。ぼくも時折スライドなんかで出して、今このタン状態になっているクマムシは生きていますか、死んでいますかって問いかけます。代謝もすべて止まっていて、死んでいると言っていいわけですけど、水をかけると生きた状態に戻ります。生命の本質とはなにかと語ろうにも難しいのに、なぜか生きている状態と死んでいる状態というのは、何となく見分けられると。たぶん実はここにヒントがあって、生きているということと、生命であるということはたぶん別物です。生きているというのは状態で、その状態を維持するためのシス